あなたは高専という単語を聞いたことがありますか?
高校でも、大学でもない、高専。
今日はそんなぼくが通っている高専について伝えていきたいと思います。
そもそも高専って何??
高専生活を長い間していると、自己紹介の時などに必ず聞かれることがあります。
「高専って高校?大学?」
「たしか4年制の高校なんだよね?」
「あー、あの男子校ね!」
残念ながら全部違います!笑
質問をしっかり答えると長くなるので、ぼくはいつも
「5年制の工業高校みたいなもので、卒業すると短大卒と同じ準学士がもらえる学校」
と説明しています。
ちなみに文部科学省のHPには以下のような文章がありました。
高等専門学校は実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。
全国に国公私立合わせて57校あり、全体で約6万人の学生が学んでいます。
ページ内にわかりやすい画像があったのでそれも引用します。
一般人が高専と聞いても思い浮かぶのはせいぜいロボコンぐらいなものでしょう。
しかし、そのロボコンもぼくを含め、大半の高専生は参加していません。 いわゆる部活と同じ位置づけです。
授業内容は、高校のような普通科目もありますが、1年生から各学科専門科目もあります。
電気や機械工学科なら実験もどしどしやります。
高専についてはこれくらいにして、次章から本題のメリット、デメリットについてです!
高専のメリット
まずはメリットから紹介していきます。
- 自由な時間が多く取れる
- 価値観が広がる
- 学生寮という存在
- 服装、髪型が自由
- 長期休みが長い
- 就職率が良い
- 大学編入が比較的楽
- 海外留学がしやすい
と、思いつく限りであげてみました。
たくさんありますが、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
自由な時間が多く取れる
高専に入学する最も大きなメリットのひとつです。
高専に入学すると、卒業時に大学編入、就職、専攻科の3つの選択肢が得られます。
そのため、授業も実力をつける実践向けなものが多く、いわゆる高校生がする 受験後には忘れてしまうようなセンター試験用の勉強 をしなくても済みます。
そのことで時間に余裕ができ、自分の好きな事をする時間が増えます。
部活に専念する人、趣味に没頭する人、ゲームをして時間をつぶしている人、バイト三昧な人などさまざまです。
この時間を何かしら自分に投資できるといいですね。
価値観が広がる
これはぼくが 高専に入ってよかった と一番強く感じたメリットです。
高専にはいい意味でも悪い意味でも変わった人が多いです。
アニメが大好きな人をはじめ、いろんな種類のオタクがいるのはもちろん、ぼくのような意識高めな人、意外にも文系ノリの強いイケてる系の人もいます。
そして不思議なことにみんな仲がいいです。
高校で聞くようないじめなどは見たことがありません。
また、高専生は年齢の幅がすごく広いです。
入学したての15歳から、留年を繰り返して24歳の人だっています。
高専に入学すると、部活や寮でいきなり4つや5つも年上の先輩と話す機会ができます。
こんな多種多様な人たちに関わることで、高校では得られない価値観の広がりを得られます。
学生寮という存在
高専には近くに学生寮が併設されています。
ぼくのいる豊田高専寮は全国でも最大規模で、全学生約1000人のうち、600人ほどが入寮しています。
寮に入ると、門限があるなど規則が増えてしまいますが、ぼくはメリットのほうが多いと感じています。
クラスルームへは徒歩5分で行けるので朝ゆっくりできるし、暇になったら友達の部屋に遊びに行けるし、勉強も聞き放題だし、定期的にイベントは開かれるし、いいこと尽くしです。
そして何よりぼくが考える寮のいいところは、学生主体で寮運営をしているところです。そのひとつとして寮の指導学生という制度があります。
指導学生は、1年生や2年生に自立してもらうため同じ階で指導をする学生のことです。
このことで1年生は必然的に上級生と関わることができ、上記の価値観が広がるというメリットにも直結します。
また、指導学生をするメリットもあり、多くの寮生の前でスピーチやプレゼンをすることがあるので、その能力を向上させられます。
服装、髪型が自由
この項目は各高専によってまちまちですが、ぼくの高専では1年生のゴールデンウィークまでは中学の制服、それ以降は私服です。
他高専では2年生が終わるまでは制服のところもあります。
長期休みが長い
高専には高校のように長期休み補習はありません。
また、夏休みは約2か月、春休みは約1か月半と、ほとんど大学と同じ日数の休みがあります。
もちろん課題は出ますが、周りの進学校に進んだ友達に比べたらとんでもなく少ない量だったと記憶しています。
逆に休みが長すぎてやることがないと嘆く人もいます。笑
就職率が良い
高専から就職する場合、その就職率はほぼ100パーセントです。
高専生は即戦力として役に立つ人が多いと企業の方はよく語ってくれます。
先生によると1人の学生に対して10~20社ほどの企業が求人してくれるそうです。
大学編入が比較的楽
上のほうにも書きましたが、高専からの大学編入にはセンター試験がありません。
入試科目は、数学、英語、物理、化学、専門科目のうちのいくつかですが、大学によっては数学と英語だけのところもあります。
科目が少ないことで、特に文系が苦手だよって人には受験が楽になると思います。
それに加えて、大学編入はなんと試験日が被らなければいくつでも受験可能という大きなメリットがあります。
どうしても大学に編入したい人は北海道から沖縄まで各大学巡回の旅をすることだって可能です。お金のことを考えなければ日本全国旅行もできて一石二鳥ですね。笑
海外留学がしやすい
高専生活は5年間あるので、そのどこかの1年を休学して留学に行く人がいます。
ぼくもそのひとりです。2年生の時に休学をしてカナダへ交換留学をしました。
留学をすることで本当に価値観や友好関係が広がるので、とてもお勧めしたいです。
留学に行くにあたって支援してくれる団体が多くあるのですが、それについてはまた別記事で伝えていきたいと思います。
ぼくの通う豊田高専は全高専の中でもトップクラスに留学に行く人が多く、毎年30人ほどが世界各国へ飛び立っています。
高専という道を選ぶ際はぜひ留学についても一緒に考えてみてください。
さた、メリットをみてきてどうでしたか?
高専っていいところだと思ってもらえたらうれしいです。
続いてはデメリットについて紹介していきたいと思います。
高専のデメリット
- 高校のような甘酸っぱい青春はない
- 留年者が多い
- 進路の変更が大変になる
- 就職の面で大卒に劣る
- 大学生が羨ましくなる
ぐらいでしょうか。
メリットに比べて少ないですが、結構重大なものが多いです。
それではひとつひとつ見てみましょう。
高校のような甘酸っぱい青春はない
高校生活ってキラキラしていて楽しいものだと思うのは僕だけでしょうか。
男女比はほぼ1:1で、文化祭で好きな人に急接近する!みたいな。。
普通高校に通う人の中には「そんなことないよ~」という人もいるかもしれません。
しかし、そんな人でも蚊帳の外の高専生には羨ましいんです。
高専のほとんどは工学系なので圧倒的に男が多い!
学科によっては1:1のところもありますが、それを加味しても結局学校全体で見たら男が多いので関係ありません。ライバルが多すぎます。
高専生で彼女がいる人の多くは内部ではなく、外部の学生です。
ツイッターでよく見るクラスでいちゃいちゃなんて全くありません。あっても男同士です。(もちろんノリで、ですが)
なので高専にきて、高校のような雰囲気を期待するのはやめておくのが無難です。
ちなみに高専には「出会いがないのがいけない。普通高校なら余裕で彼女ぐらいできた。」という輩がいますが、そんなことをいうやつは普通高校に行ったとしてもできません。ぼくの持論です。
留年者が多い
本当に多いです。学科によりますが、クラスの約1割が留年します。
留年する理由はさまざまで、
- 単純な学力不足
- 病気やけがなどで仕方なく
- 遊びすぎ、バイトのしすぎ
- 専門科目に興味がなくなった
- そもそも学校に来ない
などです。
このなかでも深刻なのが、専門科目に興味をなくして勉強を放棄するケース。
こうなるとたとえ中学時代オール5の成績をとっている人でもやる気がなくなってしまうのでどうしようもなく、留年どころか学校をやめて好きな事を始める人もいます。
実のところ、専門科目が好きじゃないという学生は少なくありません。ぼくもその一人です。
ぼくの意見としては好きな事や夢を追う事はすごくいいと思いますが、学校にお金を払っている親としてはとんでもないことじゃないでしょうか。
入学したら、留年したとしても自分のためにちゃんと卒業して資格をもらいましょう。
進路の変更が大変になる
さきほど学校をやめる話が出ましたが、進路を大きく変えるためにはそれほどのことをしないといけません。
専門のことを5年間学び続けて、それを捨ててまで1から始めないといけないので、とても大変になることは簡単に予想できます。
途中で進路を変更することもできるけど、ちょっとしんどいよ。ということを覚えておいてください。
就職の面で大卒に劣る
高専5年 vs. 高校3年+大学4年 なので当たり前といえば当たり前の話です。
初任給でいえば短大卒と同じ企業が多いです。
就職率は100パーセントですが、待遇はそれほどだよってことですね。
聞くところによると、ある世界規模の大企業では高専卒には昇進は事業所長が限界という話があります。
大学生が羨ましくなる
上の高校生の話と似たようなものですが、これは生活面についてです。
高専は学年が上がるほど専門性が増していくので、必然的に実験やそれに関するレポートの課題が多くなっていきます。
学科によってはA4を50枚ぎっちりボールペンで手書きというのもあるそうです。おぞましい。。。
5年生になると卒業研究以外の授業が減り、少し楽になるのですが、問題は4年生。
4年生に上がる頃には、周りの普通高校に行った人は大学生1年生になります。
snsを見ると、彼ら(特に文系学生)が「毎週水曜日は全休にした~。うぇーい。」などと何とも羨ましいことを言っているではないでしょうか。
高専は自由な時間があるとメリットのほうでは述べました。しかしそれは高校と比べての話です。
大学生と比べると自由な時間は圧倒的に少ないので注意してください。
終わりに
さて、いかがだったでしょうか。
高専のいいところ、悪いところ、たくさん挙げましたが、それをどうとるかはあなた次第です。
ぼくが中学3年生だったころ、高専について調べても現役生の生の声があるサイトは少なかったように思います。
ぼくの意見を参考にしつつも、たくさん調べて悔いのない選択をとるようにしてください。
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